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2008-03-26 Wed 00:00
ここ最近のこのブログは(ロクに更新しないくせに)ハードな政治の話題が続いていたので、少し軽めにオタク系の話題を。
ニコニコ動画ではオタクの皆が大好きな(笑)アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の二次創作MADが人気なのだが、その中で「ハルヒ性転換シリーズ」と題打たれた一連のシリーズ作品がとんでもない人気を集めている。はてなブックマークで「涼宮ハルヒの憂鬱」タグを辿るとそれ系の作品がわんさか出てくるほどだ。 (アカウント未取得の方はこちら) 大ムーブメントのきっかけになったのはこの動画のようで、投稿から1ヶ月で既に再生数50万、コメント数10万、マイリスト(=ニコニコ動画におけるお気に入りのようなもの)登録数2万を超えるモンスターMADとなっている。その絵柄といい、テーマといい、動画タイトルにスラッシュ(/)を入れる今時古式ゆかしい女性同人サイト風の手法(検索避け)といい、作者はほぼ間違いなく年季の入った女性のオタクではないかと思えるのだが、これによって生み出された「ハルヒ」の主人公・キョンの女性バージョン(通称「キョン子」)は、MADの作者の手の内を超えて様々な作品を生み出していくことになる。 (アカウント未取得の方はこちら) こちらは「女体化キョンと女体化古泉(筆者注:原作でのキョンの親友)があまりに可愛かったので」作られたという二人をフィーチャーした作品。一見男性のファンが作ったように見えるが、どうも作者の口ぶりからするに本作も女性ファンの手によるもののように思える。 (アカウント未取得の方はこちら) こちらはいわゆる「歌ってみた」系と呼ばれるカラオケの動画で、自称「腐女子」の作者がキョン子を演じ、キョンのキャラクターソングの替え歌を歌うという内容になっている。この作品で「キョン子」の具体的な性格の方向性などが決定したようだ。 (アカウント未取得の方はこちら) 投稿順で言えば前述の動画に先駆けて投稿されたのがこちらの動画。内容は前述の動画の古泉バージョン。元々、主人公キョンとのBL(やおい)作品が人気だった古泉の女性化バージョンだけに、そうした(女性の)ファン層にもアピールする内容になっているようだ。 (アカウント未取得の方はこちら) 先述の動画ではあまりスポットの当たらなかった脇役キャラをフィーチャーした動画。これも作者は「腐女子」のようだ。 (アカウント未取得の方はこちら) こちらは原作準拠のストーリーもので、キャラクターの性別だけが逆転している。音声はアニメの流用なのでやや違和感があるかも。 (アカウント未取得の方はこちら) こちらは元々キョンと古泉のBLだった元絵を、キョンの性別だけを女性にすることで「ガチホモじゃなくしてみた」というのがテーマのようだ。コメントをオンにすると、画面を埋め尽くすほどの「古泉死ね」コールが見られる。 (アカウント未取得の方はこちら) こちらはよりストレートに同人誌的な内容となっている。作者が現役女子高生らしいということで話題になった。 (アカウント未取得の方はこちら) 原作アニメで有名なエンディングのダンスシーン(通称ハルヒダンス)を3Dでキョン子と古泉(女性)に踊らせた動画。元々3D関係で有名な人が作者らしいので、上記したような動画群とはやや系列が違うと思われる(作者は多分男性だろう)。 (アカウント未取得の方はこちら) こちらの作品は男性の歌い手二人と女性の歌い手一人による原作で女性だったキャラ(ハルヒ含む)の男性版キャラクターソング集。 (アカウント未取得の方はこちら) 最後に、男性の声優と女性の声優(勿論アマチュアだが)による性転換キャラクター達のアテレコ作品。結構本格的な内容になっている。 これだけの作品を紹介しても、これらはムーブメントのほんの一端に過ぎないようで、現在の「ハルヒ性転換シリーズ」タグの動画投稿数は650を超え、なお増え続ける傾向にあるようだ。ニコニコ動画の「涼宮ハルヒの憂鬱」タグの総数(実に7500件以上!)に占める割合からすると約10分の1程度なものの、今後飽きられなければ更なる躍進が期待できそうなジャンルではある。あるいはコミックマーケットなど、外部のオタクカルチャーにもこうした動きは伝播していく可能性があるのかもしれない。私はコミケには興味ないのでよくわからないが。 このムーブメントの特徴は、何と言っても普通は男性のオタクをターゲットにしている(はずの)所謂「美少女アニメ」である「ハルヒ」を題材にして、女性の作り手が完全に主導権を握る形で同人活動の展開が起こっていること、さらにその流れに男性のファンもまた巻き込まれていることに尽きるだろう。元々「ハルヒ」の主人公のキョンは、(有名声優の杉田智和氏の起用もあってか)女性ファンに人気が高く、ニコニコ動画上でもいわゆるBL作品の盛り上がりはあったわけだが、それが今回のムーブメントの布石になっているのはもはや疑いようが無い。 こうした、男性ファンと女性ファンの一種の「共犯関係」による、男女の性幻想の共有が行なわれているような状況(とは言っても、ニコニコ動画という匿名性の高いやや特殊なネットコミュニティだから起こりえたことなのかもしれないが)にあっては、先日批判した宇野常寛が主張するような、「ハルヒ」のような作品はせいぜいうだつの上がらない男性オタクの現実逃避のためのツールに過ぎないとする揶揄的な語り口は、それだけでは問題を捉え損ねるどころか、最早「ハルヒ」という作品自体の批判として機能することすら難しい(「原作に書かれている内容以外は批評しない」というスタンスならともかく、宇野は明らかにそういう語り方をしていない)のではないか。「ハルヒ」にせよ「らき☆すた」のような作品にせよ、それらがオタクのコミュニケーションツールとして機能しているという事実を踏まえるなら、社会学的視点にまで踏み込んだ「批評」に必要なのは、そうしたコミュニケーションの実態を捉える広範な目線であるはずだ。 まあ、そういうわけで宇野あたりのバカをDISって名を挙げたいサブカル系ライターの人は、是非ともこのエントリーのネタを使って下さったら幸いです。私はそこまで興味ないのでやりませんが。 つーかセクシュアリティ論まで踏み込んでこういう問題を語れる女性の論者がいれば一番良いんだけど、オタク界は人材不足でそういうことが出来る人がいないのかな? |
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